VOL.555『躾と仕付け』
「身が美しい」と書いて「躾(しつけ)」
とても素敵で好きな漢字ですが
元々は「着物を仕付ける」の
「仕付け」に由来しているといいます。
仕付けは、裁縫において、本縫いの際に生地がずれたりせず
きれいに縫えるよう、ざっと縫いつける仮止めで
仕上がりの質を良くするための大切な準備です。
そして仕付けは、服が完成したら“外す”もの。
元京都教育大・京都女子大学教授で
発達心理学、言語心理学を専門とする岡本夏木先生の著書「幼児期」の中に
『しつけ糸をはずすことは、いうまでもなく、子どもを本人の自律にゆだねることです。
しつけとは、もともと自律に向けてのしつけなのです。
外からの強制によって社会のきまりをあてがうことよりも、
むしろそうした外的強制をとりはずすことをめざすものです。
しつけが不要になるようにしつける、といってよいかもしれません。』
とあります。
礼儀作法をしつける、というと
型にはめられるような、きびしく教え込まれるような
そんなイメージがそこはかとなく漂いますが
実際は、自律のための準備であって
いずれ不要になることが前提のもの。
ちなみに「自律」とは
自分で考え、自分自身をコントロールできること。
自分の意志を持ち、自分で立てた規範に従って行動すること。
そうなれるための準備が仕付け(躾)。
こういう決まり(作法)だから、
みんながやってるから、
これが常識だから、と
礼儀作法を押し付けられるものではないし
そういう知識を得て安心するためのものでもない。
自分で考え、判断し、行動できるようになるための土台作りなんですね。
ちなみに【躾】は、中国から入ってきた漢字ではなく
室町時代に日本で考案された国字。
国字には、日本の文化や日本人の価値観が反映されています。
言動や振る舞いから、人としての本質的な美しさを垣間見る…。
「躾」にはそんな価値観が反映されているような気がしました。
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今日は残りの人生で一番若い日♪
凛とした姿勢と温かい言葉で充実の一週間を!
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